子どもの頃、誰しもひとりやふたり、強烈な印象を残す級友がいたものです。
私の小学校時代の「伝説」は、迷わず彼――イシバン(仮名)です。
彼の武勇伝は数あれど、まず忘れられないのは上履きの件。
高学年になっても左右の区別がつかず、上履きを逆に履いていたイシバン。
その対策として、かかとには大きくマジックで「みぎ」「ひだり」の文字が書かれていました。
それでも、履き間違える。
友達:「イシバン、それ逆だよ!」
イシバン:「あっ!ほんとだ!」
このやりとりが週に何度も繰り返されるあたり、もう笑うしかありません。
そしてもう一つ、語り継がれるのが給食と牛乳の闘い。
当時は「給食は残さず食べる」が鉄則。
しかしイシバンは牛乳がどうしても飲めない。
そこで彼が編み出した奥義――
「牛乳、体操服にしみこませ作戦」
牛乳を口に含み、先生の目を盗んでじわじわと体操服に…
給食後には彼の体操服がうっすらと湿っていたのです。
もはや「努力の方向性がすごい」としか言いようがありません。

さらに忘れられないのは、あの日のリレー。
体育の日の全校リレーで、イシバンのチームは隣の組と70メートルもの大差。
なのに、次の走者に早く走り出してもらいたくて、彼はまだ15メートルしか走っていないうちに…
「ゴー!!」
と叫んでしまったのです。
焦りすぎィ!!
バトンパスもまだなのに、叫んで走らせるあたり、もう笑いが止まりませんでした。
しいたけ茶を飲みながら、ふと思い出すのはそんな天然伝説のイシバン。
今ごろどこで、どんなふうに生きているのだろうと、時折ほっこりと考えます。
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