今回ご紹介するのは、あまりにも衝撃的な繁殖スタイルをもつ深海魚、ミツクリエナガチョウチンアンコウ(学名:Gigantactis vanhoeffeni)。

漢字にすると「三つ繰柄長提灯鮟鱇」…長い。名前も長いが、メスのヒレもビヨーンと長く伸びていて、しかも発光器付き。その姿は、まさに深海のランタン使い。
🐠 メスは女王、オスは「ただの器官」?
この魚の生態の最大のポイントは、**オスとメスの体格差とその“関係性”**です。
- メスの平均体長:40cm前後
- オスの平均体長:たったの2cm程度
この差、実に20倍。
でも本当の驚きはここから――
😱 オス、まさかの“融合”
オスはメスを見つけると、その体にかみつきます。
え?深海版『吸血鬼』ですか?
いえいえ、これはプロポーズのようなもの。
しかもそのプロポーズ、受け入れられると…
- 血管がつながり
- 栄養供給が始まり
- オスはメスの一部と化す
…えっ?
🧬 消えていくオス、残るのは…
驚くべきことに、オスは融合後にどんどん退化していきます。
- 眼がなくなり、視力を失う
- 呼吸器も退化し、酸素すらいらなくなる
- 内臓も溶け、ついには精巣だけが残る
つまりオスは、精子製造装置になってしまうのです。
そして、この状態のオスが1匹だけじゃない。
メスの体には複数のオスがかみついて同化していることもあります。
「一妻多夫制」どころじゃない、多オス一体型ライフ…。
🌊 なぜそんなことに?深海という過酷な環境
この不思議な繁殖戦略の背景には、深海という過酷な環境があります。
- 暗く、広く、仲間に出会えるチャンスはほとんどない
- そのため、「出会った時が勝負」
- 出会った瞬間に「融合」という選択肢を取ることで、次世代の可能性を確保する
オスにとっては、命がけどころか命そのものを捧げる恋愛なんですね。
🙄 てるたけの感想:人間でよかった…
私個人の感想としては――
なんとなく、人間でよかったと、しみじみ思います。
恋愛っていろいろありますけどね、
精巣だけになるまで尽くすって…そこまでは、ちょっと。
引用・参考文献
- 『深海生物ファイル』講談社サイエンティフィク編集部(2018年)
- 『DEEP SEA LIFE―深海生物大図鑑』中山信太郎・今泉忠明監修(成美堂出版、2019年)
- Smithsonian Ocean – Anglerfish Mating
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